うわさ再考:「監査をすれば会社の不正があるか無いかがわかる」

 

『うわさ再考』第五弾。「監査をすれば会社の不正があるか無いかがわかる」というのは本当でしょうか?

海外では非常に難しい。監査をするだけで海外現地法人に不正があるかどうか、どのような不正があるかを判断するのは非常に難しいと言えます。それは、言葉の障壁(日本語と当地の言葉の違いという言語的な障壁)による難しさではありません。

どのような人が監査をしているか?

「日本国内での監査の経験しかない人」と「海外での監査の経験がある人」による監査の違いは歴然です。「海外での監査の経験がある人」は、海外現地法人において、規程と実務の乖離、誤謬(ごびゅう)がどこで発生しやすいかの勘どころがあります。その経験をもとに、監査での質問を重ねたり、証跡資料(エビデンス)を要求します。監査を実施する人が海外法人の監査の経験がない人は、経験のある人に直接話を聞くべきです。重要なことは、報告書には書かれていない場合があります。

そもそも、どのような監査をしているか?

監査は何をするのか?これまで過去10年にわたって、とある関係で「監査の監査」をしてきましたが、半数以上の会社では、監査部門は「社内規程が遵守されているかどうかは監査するが、社内規程が理にかなったものであるかは関知しない」というスタンスでした。各社では、「ガバナンスやコンプライアンスという視点で監査が実施されている」、という社内外からの期待や認識を得ていますが、現実的な課題として、「そもそもあるべき規程のために、リスクの認識と、それに対する抑制策を実務で実現するよう、規程にどのように盛り込むか(さらに教育周知をする)」という斬り込みについて、会社の監査にこの最後の砦となる機能を課すには難しいところがあると言えます。

監査で不正があるかが分からないのであれば、どうすればいいのか?

不正があるのか無いのか?

不正があるのか無いのかが分かる仕組みになっているのか?

不正を起こすチャンスがどこに存在するのか?

不正を起こす動機は何か?

といった、いくつかの観点から、監査が実施されていますが、以下の点に留意すべきと考えています。

(1)当地の法令、会計基準の要点を理解する。会計事務所や弁護士事務所が不定期でセミナーを実施しているので、参加することを強くおすすめします。当地で見受けられる不正や誤謬、事例ついての専門的な説明を聞くことができます。場合によっては、是正の仕方、対策にまで踏み込んだ話が聞けるかもしれません。日本の法令との違いを含めて、積極的に質問をしてみてください。

(2)まず、ある程度、業務の流れを理解する。「日本本社の当たり前」が、海外現地法人でも運用されているとは思わないこと。経営指標をよくするために、景気が悪いときは、日本よりも人員を減らす会社が多い傾向が見られます。また、規程にどう定められていようが、その規程が日本本社からリクエストしたものであったり、半ば強制的なものであれば、遵守されている可能性は半分の確率だとみなした方がいいかと思います。検査基準がないがしろにされていないか、工程飛ばしや歩留まり率の改竄がないか等、抜き打ちで現場の確認や、実務帳票(証跡資料)のチェックをしてみましょう。

(3)キーパーソンに考えを聞く(何がポイントだと思うかをヒアリング)。ここで重要なのは、信頼関係を築けていること。あなたが日頃から、言った事をしない・守らない、秘密を守らないのであれば、その時点でアウトです。キーパーソンも、あなたに心を開いてくれることないでしょう。あなたが知り得たことには、誠意を持って対処することが絶対です。

不正は、あってほしくないもの。不正が存在することを認識した時に、あなたが、どのような立ち振る舞いをするか(アクションをとるか)が何よりも重要です。不正が何も無い、ということを確認できたのであれば、それは本当にいい事。但し、不正が発生した(している)ことが確認できた場合、必ずアクションをとらねばなりません。

「不正のトライアングル」という理論があります。これは、「不正の機会」、「不正の動機」、「不正の正当化」という3つの要素がそろった場合に不正が発生するという考え方です。不正が発生した(している)ことが確認できたのに、アクションをとらないのであれば、「不正は容認される、見過ごされる、咎められない」というメッセージを社員に送ってしまい、不正を正当化するという土壌を形成することになります。また、放置した場合(知り得てから一定期間内に処置しなかった場合)、その不正について後から懲戒処分を行えない場合がありますので留意してください(就業規則や、弁護士を通じて過去の判例等も確認してみてください)。

 

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